近年、スマートフォンの普及やリモートワークの増加に伴い、自宅でも高速なインターネット回線が必須となりました。これまで各家庭に当然のように設置されていた固定電話は減少し、代わりにスマートフォンやタブレットで通話する方が圧倒的に多くなっています。
一方で、光回線を契約する際に「光電話も使った方がおトク?」と悩む方も少なくありません。そこで今回は、インターネット回線を利用した電話の種類(ソフトフォン、IP電話、光電話、Wi-Fi電話)を比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
インターネット回線を利用した電話とは?

電話の通信方式には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 音声通信(回線交換方式):従来の固定電話。回線を独占して音声通話を行う。
- データ通信(パケット交換方式):インターネット回線を利用。音声をデータに変換して送受信する。
固定電話はアナログ回線を利用しますが、LINE電話やZoom通話などはパケット通信を利用した「インターネット電話」です。これらには以下の種類があります。
- ソフトウエアを利用したインターネット電話(ソフトフォン)
- IP電話(050番号など)
- 光電話(0ABJ番号が使える)
- Wi-Fi電話(スマホアプリや050番号利用)
次項から、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ソフトウエアを利用したインターネット電話(ソフトフォン)
特徴
- LINE、Zoom、Facebook Messengerなどのアプリを利用。
- 「VoIP(Voice over IP)」技術で音声をデータに変換して送受信。
- 電話番号を使わないため、アプリ同士でしか通話できない。
メリット
- 同じアプリ同士なら通話料無料。
- 初期費用なし、メールアドレス登録やアカウント作成だけで利用可能。
- ビデオ通話や画面共有など、多機能。
デメリット
- 通信環境により音質が乱れることがある。
- アプリを持っていない相手とは通話できない。
- PC利用時は起動や電源が必要で、緊急連絡には不向き。
IP電話(050番号)
特徴
- 「050」で始まる電話番号を利用。
- プロバイダの独自回線(ADSL/光)を利用するため品質は比較的安定。
- 固定電話や携帯電話にも発信可能。
メリット
- 固定電話よりも初期費用・通話料が安い。
- 050番号同士の通話は無料のケースもある。
- PCやスマホとも連携可能。
デメリット
- 110番や119番など緊急通報ができない。
- 停電時は利用できない。
- 番号ポータビリティがないため、乗り換え時に番号変更が必要。
光電話(光IP電話)
特徴
- 光回線のオプションとして利用可能。
- 市外局番から始まる「0ABJ番号」が付与される。
- 電話加入権(約39,600円)は不要。
メリット
- 固定電話より料金が安い(月額数百円~)。
- 全国一律の低料金(例:3分8.8円)。
- 緊急通報やフリーダイヤルにも対応。
- 通話品質はクリアで安定している。
デメリット
- コレクトコールや一部の特殊番号は利用不可。
- 停電時は不通になる(UPSで対策可)。
- 光回線契約が前提。
Wi-Fi電話
特徴
- スマホのWi-Fi接続やデータ通信を使って発信。
- LINEやZoom、FaceTimeなどのアプリ、または「050番号」を取得して利用。
メリット
- 通話料が無料または格安。
- 解約済みスマホでもWi-Fiがあれば利用可能。
- 国際通話も無料で可能(アプリ利用時)。
- ビデオ通話や画面共有もできる。
デメリット
- 通信環境に依存するため音声が途切れることがある。
- バッテリー消費が大きい。
- 緊急番号(110・119)には発信できない。
IP電話の3種類
IP電話には大きく3種類あります。
- 0ABJ番号IP電話
「03」「06」など市外局番から始まる番号。品質が高く固定電話と同等。 - 050番号IP電話
「050」で始まる番号。安価だが番号ポータビリティなし。 - 通話アプリ型IP電話
LINEやSkypeなどアプリを利用。番号不要で無料通話可能。
固定電話との違い
- 初期費用
固定電話:電話加入権+工事費が必要
IP電話:加入権不要(光回線契約は必要) - サービスの将来性
固定電話は2024年1月からIP網へ移行済み。今後はIP電話・光電話が主流。
どの電話を選べばよい?
- コスト重視・家庭用なら → 光電話
通話料が安く、緊急通報も利用可能。 - 番号不要・気軽に使いたいなら → 通話アプリ
LINEやZoomで無料利用可能。 - 副回線や格安利用なら → 050IP電話
ただし緊急通報不可に注意。
特に、これから光回線を契約する家庭や、固定電話を継続利用したい方には、光電話が最もバランスの良い選択肢といえるでしょう。
まとめ
インターネット回線を利用した電話にはさまざまな種類がありますが、選び方のポイントは「料金」「通話品質」「緊急通報対応」の3つです。
- 光電話 … コストと品質のバランスが良く、家庭向けにおすすめ。
- 050IP電話 … 安価だが緊急通報不可、番号変更リスクあり。
- 通話アプリ … 無料で便利だが、相手も同じアプリが必要。
- Wi-Fi電話 … 国際通話や解約済み端末の活用に便利。
固定電話の役割が縮小する一方で、今後は光回線を利用した光電話が「安心して使える自宅用電話」として主流になっていくでしょう。